香りのラボ「Komons Fragrance Lab.」を構えた時からチャレンジしたいと考えていた “地元の素材からの香り抽出(蒸留)”
山梨県産ワインの搾りかすや裏山の草花類など、南アルプス市に拠点があるからこその素材を使い、オリジナルの香りを生み出す。そのための第一歩として、少しずつ蒸留に挑戦しています。
今回蒸留に使ったのは、ヒバの枝葉と、白ワインの搾りかす。すっきり爽快感のあるヒバは、前日に機器のテストとして蒸留し、予想以上の量(総重量の1.5%ほど)のオイルを手に入れることができました。蒸留直後の今はまだ樹木特有の青臭さがかなり残っているのですが、1ヶ月ほど寝かせたら良い香りになりそうです。
今回のメインディッシュである白ワインの搾りかすは、山梨県甲州市塩山にある素敵なワイナリー〈98wines〉から譲っていただいたもの。白ワインのパミスなので、発酵しておらずアルコール分は含まれません。(ちなみに98winesさんはワインのおいしさはもちろん、山の中腹から望む景色がものすごく素敵なワイナリーなので、ご興味のある方はぜひ一度訪ねてみてください。)
搾りかす自体の匂いを試しに嗅いでみると、フレッシュでありながら深みを感じる香りが。この香りをうまく蒸留することができたら、いい精油ができそうな予感がします。
〈Komons〉がテスト用に導入しているのは常圧水蒸気蒸留機。約40リットルほどの釜に入れたお湯を沸騰させ、その上に材料を入れていきます。〈98wines〉さんのワインの搾りかすをたっぷり贅沢に入れると、ブドウのいい香りがふわっと広がります。
水蒸気が外へ漏れないように釜を密封し、装置をセット。ぶどうの皮や種に含まれる香気成分含む水蒸気が釜から冷却管へ。冷却管を通る際に冷やされた水蒸気が液化し、フラスコの中で「精油」と「芳香蒸留水」の2層に分かれるという仕組みです。
蒸留しているそばから建物全体にワインの香りが広がり、期待に胸膨らませながら3時間ほど経過。芳香蒸留水はたっぷりと取れましたが、肝心の精油(オイル)はほぼ取れず…。
元々素材に含まれるオイル分が少ないことは確かですが、フランスではこのワインの搾りかすから蒸留した精油が存在することは確かなので、これから素材の乾燥度合いや蒸留の方法など、試行錯誤する必要がありそうです。
初の試みで精油は少量しか得られなかったものの、芳香蒸留水はとてもいい香りで2Lほど取れました。せっかくなのでアロマスプレーにして、芳醇なワインの香りを楽しみたいと思います。
〈Komons〉はこれから、山梨県産の素材を中心にさまざまな蒸留に挑戦する予定です。どんな香りを生み出すことができるのか、今後も発信していきますのでお楽しみに!