Ron Hermanとのダブルネーム商品はどのように生まれたのか?<br>~ 香りへのこだわりや、商品に込めた想い ~

Ron Hermanとのダブルネーム商品はどのように生まれたのか?
~ 香りへのこだわりや、商品に込めた想い ~

Komonsでは、2021年からRon Hermanとのダブルネームアイテムを展開しており、これまでにハンド&ボディウォッシュやマルチバームなど、今までに10商品をともに作ってきました。

今回は、Ron Hermanでコスメバイヤーを務める首藤紗綾子さんを「Komons Fragrance Lab.」へお招きし、Komonsの代表・有井との対談を行うことに。

オリジナルの香りが生まれた経緯や、商品を使う人々への想いを2人で語り合いました。

天然香料にこだわり、誰もが安心して使えるアイテム作りを。

―― はじめに、〈Ron Herman〉と〈Komons〉がコラボレーションすることになったきっかけについて教えてください。

首藤:〈Ron Herman〉の代表である三根がどこかのお店で〈Komons〉さんのアルコールスプレーを使ったそうなのですが、それがとてもいい香りだったと私に教えてくれたんです。

それで他の商品も使ってみたくてオンラインでいくつか購入したら、有井さんからご連絡をいただいて、一度お会いしてみることになって。

当時は私がコスメバイヤーになりたての頃で、他のブランドとのコラボはせず、ほとんど買い付けのみで売り場を作っていたんです。

そんな中、 “こういうものを作りたい”という自分の中のイメージに〈Komons〉さんがうまくフィットした感覚がありました。香りはもちろん、“家族や身の回りの人のために安心安全な商品を作りたい”という有井さんの考えにも共感して。

〈Ron Herman〉には子どもから大人まで幅広い世代のお客さまがいらっしゃるので、誰もが安心して使えるコスメを展開したいという想いが私の中でも強かったんです。

―― なるほど。

首藤:ナチュラルコスメって、万人受けするのはなかなか難しいんですよね。合成香料に慣れている方からすると、香りが物足りないと感じられたり、クセが強いと思われてしまったり…。でも、私が担当するコーナーでは香りを100%天然にしたいと決めていました。

有井:人工香料と天然香料の違いって一般の人にはわかりづらいですよね。パッケージに天然と書かれていても、嗅いでみると「あれ、これは人工香料も使っているな」ってわかることもありますし。

首藤:そうなんですよね…。〈Ron Herman〉の名前をつけて、責任を持ってお出しするのであれば、私自身が心から納得して使えるものを売りたいと常々思っています。

有井さんとは香りのセンスだけでなく、天然香料への想いを共有できていたから、商品づくりがうまくいったのかもしれませんね。

ワインや蒸留酒からインスピレーションを得て、オリジナルの香りが誕生。

―― 商品の軸である香りはどのように決めていったんですか?

有井:はじめは店頭に置くためのアルコールスプレーから取り入れていただき、同じタイミングでマスクスプレーを発売しました。その時は、AMBERという香りを一緒に作って。たしか、首藤さんからはそれほど細かく注文がなかったですよね?

首藤:ローズと柑橘を使い、ちょっと重みのある複雑な香りにしてほしいと伝えた気がします。アンバーがかった色味のワインの香りや、紅茶専門店〈Uf-fu〉の「アンバー」という紅茶の香りが大好きなので、そのイメージを商品に落とし込めたらと思っていました。

「アンバーの精油を入れて」と有井さんに直接お伝えしたわけではなかったので、香りの案を持ってきてくれた時にアンバーが入っていて、「なんでわかったの?!」って驚きました。

有井:〈Ron Herman〉さんっぽい香りって何だろう…と考えた時に、ふとアンバーが思い浮かんだんです。〈Komons〉らしい精油のブレンドを中心にしつつ、その周囲をアンバーでふわっと包むようなイメージです。

たしか最初に3パターンくらい香りを持って行ったと思うのですが、そのうちの1つのアンバーを選んでくださって。当初は「いったい何十回試作することになるんだろう」と身構えていたので、まさかの1回で決まってびっくりしました(笑)。

首藤:1回で決まることはほとんどないですよ!だから私も驚きました。香りの好みを言葉で伝えるのって難しいじゃないですか。だから、有井さんとは感覚が近いのかなと感じました。

――もう1つの香り、ARMOISEはどう作っていったんですか?

有井:AMBERはトーンが重めでリラックス寄りの香りなので、新しく作る香りは夏をイメージした爽やかなものが欲しいとリクエストをいただいて。こっちは何度かやり直しましたね。

首藤:AMBERがあまりにも良かったから、次の香りもちゃんと良いものにしなくてはというプレッシャーもありました。ローズマリーだけでは何かが足りないと感じていた時に、〈辰巳蒸溜所〉の「フキの花アブサン」というお酒に出会って。

ニガヨモギをベースにしたお酒なんですが、飲むとフワ〜っと香りが広がって、頭がすっきり働くんですよね。夜中に少しずつ飲んでいたら、「必要なのはこの香りなんじゃないか」って閃いて。

―― 偶然かもしれませんが、2つとも飲み物から着想を得たんですね。

首藤:そうですね(笑)。私は紅茶やワイン、蒸留酒など、飲み物からアイデアを得ることが多いんです。

有井:モロッコで育つヨモギの仲間であるアルモワーズを使いブレンドしてみたら、爽やかな香りが心地よくて。アルモワーズもアンバーも、他の商品ではなかなかアイデアに浮かばないものですが、やってみたらとても良い香りになったんですよね。

〈Ron Herman〉さんとのお仕事を通じて、〈Komons〉の香りの幅が広がった実感があります。

忙しい日も、手軽に癒しを得られる香りのプロダクト。

――これまでにいくつか商品をリリースしていますが、共通するテーマやこだわりは何かありますか?

首藤:一人暮らしの方も家族と暮らす方も、大人から子どもまでみんなが使えるものを心がけています。 “本来の自分に戻る”というコンセプトが自分の中にあるので、例えばハンド&ボディウォッシュだったら、1日の終わりにこの香りで自分をリセットしてもらえたらいいなって。

あとは〈Ron Herman〉のお客さまはお忙しい方が多く、手間のかかるものは好まないという方もいらっしゃいます。だから、手軽に香りを楽しめるという点も重要です。すべての商品に共通して、誰もが気負わず使えることが一番のテーマでしょうか。

有井:オイルやバームなど、1つでマルチに活躍する商品が多いのも特徴ですよね。僕はこれまでオイルが身近になかったのですが、ヘアセットに取り入れてみたら思いのほか便利で、すっかりオイル派になりました。

バームは〈Komons〉で作ったことのない商品だったのでけっこう大変でしたが、とてもこだわって真摯に生産している工場に巡り会えたおかげで、テクスチャーも納得いくものになったと思います。

――お客さまからの反応はどうですか?

首藤:もともと天然の香りがお好きな方はもちろん、合成香料の香りに慣れている方にも気に入っていただけることが多くて。受け入れてもらえるお客さまの幅が広いと感じています。

有井:店頭に並んでいるディフューザーや香水など、他の香りの商品と並列で楽しんでもらえているということですかね。

首藤:ナチュラルコスメ好きの方々だけに商品を展開するつもりはないですし、〈Ron Herman〉にあるお洋服やジュエリーと同じようにラグジュアリーな雰囲気を楽しんでもらいたいという想いが根底にあるので、そういったお客さまに気に入っていただけているのはとても嬉しいです。

あとは、お店のスタッフからも好評なんですよ。毎日立ち仕事で忙しいスタッフのみんなが、香りで少しでも癒されてくれたらいなと思っています。

ラボがある山梨の土地を生かした、新たな香りを生み出したい。

――最後に、今後こんなアイテムを作ってみたいと想像するものは何かありますか?

首藤:〈Komons〉さんが今挑戦されている、酒粕やワインの搾りかすなど、廃棄予定のものから香りを蒸留する試みに興味があります。私は数年前に山梨県に移住して、ワイナリーやぶどう農家さんが身近にたくさんいらっしゃるので、そういう方々と手を組んだらどんな香りが生まれるんだろう?ってワクワクします。山梨にはもともとハーブ園だった土地を持て余している方もいると聞きました。

有井:収穫の人手が足りず、せっかく育っているハーブを活用できていないのは勿体無いですよね。ワインの搾りかすや地元産のハーブ類、そして個人的に大好きなキンモクセイの花は今後ぜひ蒸留してみたいと考えています。

首藤:私たちは2人とも山梨に縁があるので、この場所にちなんだ香りを商品にできたら楽しそうですね。

有井:ちゃんと良い香りを作れるよう、香り作りだけでなく蒸留の腕も磨いておきます。

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