鹿児島ホウショウと40年熟成のローズゼラニウム -Komons香りの旅-

天然精油にこだわるKomonsが、日本各地に眠る香りを訪ね旅をする「Komons香りの旅」。

第2回は、日本最古のハーブ園で、時が育む香りの変化を体感したお話です。

日本で最初のハーブ農園「開聞山香料園」。

今回、訪れたのは鹿児島県指宿市にある「開聞山香料園」です。1941年に開園した日本最古のハーブ農園で、その歴史は80年以上。開園当初は主にローズゼラニウムを育て、精油を抽出し海外に輸出 していたそうですが、現在の主力は芳樟(ホウショウ)です。

心落ち着くホウショウの香り。

芳樟(ホウショウ)は、クスノキ科の香料植物で、鎮静効果の高いリナロールという成分が多く含まれています。

香りはもウッド系の落ち着きがありながら、とても爽やかなグリーン調の香りがするのが特徴。心に安らぎを与えてくれる、リラックスタイムにおすすめの香りです。

ちなみに、、こんな落ち葉でも、握ってみるととても豊かな香りがしてびっくりさせられます。

香りを作り出す、蒸留のプロセス。

そしてその香りを作り出すために重要なのが蒸留です。園内の蒸留器では年間20キロもの精油を抽出しているそうで、蒸留するハーブの量は400キロ以上。釜の大きさは100キロから500キロとスケールの大きさに圧倒されました。蒸留器は80年以上前に製造されたものもあるのだとか、、修理を繰り返しながら大切に使っているそうです。

また、香料園では「蒸留体験会」を季節ごとに開催しているそうようです。実際の蒸留の過 程を見学でき、参加すればハーブウォーターも持ち帰れるとのこと。興味がある方はぜひこの機会に貴重な経験をしてみてはいかがでしょうか。

足を運んだからこそ知る、香りの熟成の世界。

園のご案内の最後に、香料園の方が40年前のローズゼラニウム精油の香りを嗅がせてくださいました。

元々長期保存する目的で厳密に保管されていたわけではなく通常の遮光瓶に入っている状態でしたが、劣化している様子がまったくなく、むしろローズゼラニウムの花束に顔をうずめているような、とてもフレッシュな香りに驚かされました。

精油にも、熟成というまさにワインのような概念があるのだということに初めて気づかされた、貴重な体験でした。

園長いわく、精油の香りで有名なオーストラリア発の某化粧品ブランドの創業者も、この香りをかいで「これは世界一だ」と感動したとか。

元々はホウショウ精油のみを目的に訪れたこのハーブ農園でしたが、やはり実際に現地を訪れてみると新たな発見があるもの。

これからも自分の足で日本全国様々な香りの場所に訪れることで、新しい香りを発見していきたいと思います。

ホウショウ精油が使われている商品